うちの幸子(72歳)は背がとても小さい。
ピアノの椅子に座ってみると足が届かなかった。
「あらー、届かない!」
とかいって足をブラブラさせるので(子供か)、足台使用。
次にピアノの鍵盤を押し下げてみる。ドレミファソとかはわかるよね?鍵盤では場所結びついてる?的な確認をすると
「はいはい、知ってますよ」
的な反応。身内に教えるって難しいと最初に感じた瞬間。「ドレミファソって親指から順番に弾いてみて」
するとびっくり
音が鳴らないのである
幸子も「あらー、鳴らないわ」なんて言っているが、まず指の力がなさすぎて鍵盤を下まで押し下げれていない。それに加えてゆっくり押し下げているのでなお鳴らない。これ逆に難しいんだけど・・・
幸子より年上の方を教えたこともあるが、長年家事をされてきた手は厚くなっており指の関節は太く、頑丈で結構力強い。
あと、長年の体のクセというか、筋肉のつき方がひとそれぞれ違っているのでそこにピアノを弾くというまた新しい動きが加わると今までピアノを弾くのとは違う動きによってついてきた筋肉が邪魔をするのだという事を知った。
以前、農家を営んでいる50代くらいの男性を教えた事がある。体系はガッチリしていて、二の腕はポロシャツの袖がパンパンになるくらい筋肉隆々で手首まで筋肉がついていて、「握力80くらいあるんじゃ?」と思わせるくらいの体つきだった。
今までピアノは経験がなかったが、どうやら昔から興味はあったらしく、当時息子さんを教えてる経緯から思い切って「自分も・・・」となったらしい。
で、初日。
手を自然に構えてそっと「ドレミファソ」とそっと右手で弾いてもらった。
「先生、手が痛い・・・」
・・・・・・
なぜなぜなんだろう、なぜなんだろう、たった一回しか弾いてないのになぜなんだろう、とビクビクしながら左手で同じことやってもらうと、左手はなんともない。右手と左手の違いは見た目でしかないが筋肉のつき方が全然違った。右手の方が2割増くらい太い。手首も太いし、筋肉ももりもりしている。
後から勉強してみてわかった事だが、普段の生活では親指の役割って物を掴む、握る為に内側に動く事が多い。親指以外の指も内側への動きが大きい。ただピアノは「指を上に引き上げる」動作がどうしても必要になる。特に親指は「上に引き上げる」動作はまず普段はしないはずである。
握る(親指内側へ、親指の付け根の関節も内側)
開く(親指外側、親指の付け根の関節も外側)
で、
ピアノを弾く手の形
親指を天井に向かって引き上げる
横から見るとこう。
ここまで上げられなくても、ピアノを弾こうとすると無意識にこの動きに近い動きをするのじゃないかと思う。解剖学的にはよくわからないが、この動き自体がもしかしたら関節とか筋に負担がかかるのかもしれないなと思った。なぜなら親指の動きがスムーズじゃない人は皆これができないからだ。
なので72歳の幸子にも十分気をつけなくてはならないと感じた。
少しづつ、少しづつ進めていこう。