60代からのピアノ〜認知症予防へ〜

ピアノは本当に脳にいいの?母の認知症予防の為にピアノの先生である筆者がピアノを教えている母の記録です。

初めてのリズム打ち

私はピアノをやり始める時期が遅い人ほど本当はソルフェージュが必要なんじゃないかと思っている。

ソルフェージュとはピアノだけじゃなく「音楽全般の基礎力」を養うものである。細かい項目は沢山あるのだが、とりあえずうちの幸子に必要なのは次の2つ。

  • リズム練習(楽器を使わない)
  • 聴音(聞いた音を楽譜にする)

 

今回はこの「リズム練習」のみについて書こうと思う

リズム練習だけやる時は楽器を使わずテーブルを手で叩く。時にはカスタネット等も使用する。音程がないもので行わないと、音の高低という余計な情報のせいでリズムが正確に認識できなくなるからだ。

 

まずは「たん」

↓これ。テーブルを一回叩く。 

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で、次に「タタ」

↓これ。テーブルを二回叩く。時間にすると、上の「たん」一回叩くのと同じ時間で2回叩く。

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実はこの「タタ」がくせ者で、正確に叩くのはなかなか難しいのである。音符って時間っていう目に見えないものを2等分やら4等分やらにしなければならない。

すっごく具体的にいうと、例えば「たん」1回が1秒だとすると、「タタ」は0.5秒を2回ということだ。0.3秒と0.7秒とかになってはいけない。

タ」って速いイメージがあるので最初の「」が短くなりやすく

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こういうリズムがあったら「たん タタ たん」となるはずが「たん タター たん」となることが多い。

しかもこの細かい時間の感覚ってそう簡単に身に付くものではなく、長い期間と、それを判断できるものが側にいないとなかなか身に付かないのである。

 

正直、70代や80代の方のレッスンをするときこのようなリズム練習をすることはまずない。とにかく弾く事を楽しんでいただく。

 

で、当時60代の幸子にそんなにリズム正確にやるべきか?とも思ったが、第一の目的は「認知症予防」なので脳に刺激を与える為にも正確さを求めることにした。一応環境上数十年ピアノを「聴く事」だけはしてきたので、「よくわからないけどなんかいびつ?」ということと「きちんとやらなきゃ結局何年経っても上手にならないんじゃ?」という感覚(超大事!)はあったので、しつこい反復練習に文句を言う事はなかった。

幸「今のどお?」(自分ではわからない)

ぴ「ちょっと違う、こう」(やってみせる)

幸「こう?」

ぴ「おしい。これに合わせてみて」(私がタタの連続でカウントをとる)

〜〜ちょっとできるようになる〜〜

幸「はーなるほど。ちょっとわかった。ここまで正確にやらなきゃだめなんだ。これは頭つかうわー。一人だったら絶対無理」

 

こんなやりとりが約5年以上続いている。勿論進みはしているのでリズムは複雑にはなってきている。それでもやはり「タター」となることはあるが、一回の手本でその場は直るようになった。